野生動物と出会った時の対処方法

2022年11月11日

時折、人がクマやイノシシなどに襲われたことがニュースで報道されることがあります。野生動物は危険というイメージもあるかもしれません。しかし野生動物による事故の原因は、人間の行動や反応にある場合がほとんどです。

大きなクマやシカから小型のイタチなど、人間のすぐ側には実に様々な動物が暮らしています。野生動物に出会った時に落ち着いて対処できるように、対処方法を身につけておきましょう。

野生動物と遭遇した時にまず意識すべきことは、野生動物を怖がらせないこと、そして刺激を与えないようにすることです。

野生動物は不必要な争いは避けるという性質があります。野生動物たちが人間に攻撃するのは防衛行動です。身に迫った危険を感じなければ人間をむやみに攻撃することはありません。

たとえば、思いもよらぬ場で野生動物と遭遇した場合、驚いて大声をだしたり、慌てて走ったり、追い払おうと石をなげたりしてしまうことがあるかもしれません。

しかし、このような人間の行動は野生動物に恐怖を与え、危険対象と認識させてしまいます。野生動物との事故は、このような動物を刺激する人間の行動から発生しているのです。

野生動物を怖がらせないためにも、大声を出して騒いだり、体を大きく動かしたり、野生動物をジーっと見続けたりすることはやめましょう。野生動物に石を投げたり、棒などで危害を加えたりするのは、もってのほかです。

野生動物と遭遇した時にやってはいけないことがわかったところで、実際にはどのように行動すればよいのでしょうか。

まずは、落ち着くことを意識してください。

意外な場所でいきなり野生動物と出会ったら驚きますが、まずは呼吸を整え落ち着けるように心がけましょう。静かにゆっくりと息を吸い込み吐き出してみるといいかもしれません。

野生動物との距離間がある程度離れている場合、視線や体の向きをそらし、無言で静かにゆっくりとした小さな動きで野生動物から距離をとりましょう。

もし、野生動物と目が合ってしまったら、ゆっくりとパチパチ数回軽くまばたきをして、野生動物から視線をはずしてください。

まばたきや野生動物から視線をそらす動作は、動物種間でよく行われる友好的な合図です。このシグナルは相手との争いを避ける合図で、カーミングシグナルといいます。

野生動物が目の前にいる場合は、動かず無言で野生動物が自分から離れるのを待ちましょう。この時も、視線は野生動物からはずしておきます。野生動物が離れたのを確認してから落ち着いてゆっくり静かに動き始めます。

クマなどの大型野生動物の場合、防衛姿勢が必要な場合もあります。防衛姿勢とは、地面にうつむいてしゃがみ、首や頭を手で守る姿勢のことです。野生動物が人間に攻撃行動をとった場合、防衛姿勢は人間の大事な体の部位を守り、致命傷を回避できる姿勢になります。ぜひ、お家で練習してみてください。

野生動物は争いを避けるために、人間との距離感をとても注意しながら生活をしています。野生動物は通常の状態では、人間から距離をとるため逃げていき、人間を攻撃することはありません。

ただし、野生動物たちは人間の心情を敏感に察知します。人間が野生動物に対して敵意を抱いていたり、過度に怖がったりすると、野生動物は危険を感じて攻撃的になります。野生動物と出会った時は、可能な限り落ち着いて、友好的な気持ちでいましょう。

また、野生動物の人間への認識は地域によって異なります。たとえば、野生動物に対して人間が敵意をあらわにする地域では、動物たちは人間に恐怖と危険を感じています。そのため、身を守るために人間を威嚇したり、先制攻撃をしたりする場合もあります。

このような悪循環を生まないためにも、人間は野生動物に危害を加えたり、存在を脅かしたりすることのないようにしましょう。野生動物に対しての平和的態度と、配慮ある行動が大切です。

人間と他の動物種の生息地である地球では、人間と野生動物の活動域は重なっています。わたしたちの生活の中に野生動物を加え「野生動物は身近にいる」と認識することはとても大事なことです。野生動物たちの存在を普段から意識していれば、野生動物とバッタリ出会っても驚かずに、落ち着いて対処できるようになるでしょう。


補足

2020年7月、メキシコ北東部のチピンケ自然公園内で、ハイキング中の女性たちが野生のクマに遭遇したことが話題になっていました。 女性たちはクマに対して冷静に対応していました。

その時の動画はこちらです。↓

https://www.youtube.com/watch?v=3pIZltE4os4