野生動物を身近な存在へ―野生動物とは?

2022年02月23日

野生動物とはどのような生き物でしょうか?

野生動物とは、人間に飼われていない、つまり家畜化されていない動物のことをいい、自然環境の中で自立して生活する動物のことをいいます。

野生動物は生息数を著しく減少させており、現在、第6の種の絶滅期と言われています。

野生動物の個体数や種が減少している原因には、人間よる自然破壊や汚染、狩猟、「捕殺」などがあります。

さらに地球温暖化が加速し気候危機と言われる状況が進行しています。このことにより、野生動物たちはさらなる苦境に立たされています。

その他に人工物や自然環境の開発構造、たとえば、ポリエチレンなどの網に野生動物がひっかかり死亡したり、河川などで行われるコンクリートや石、ブロックを使用した護岸により、護岸下に転落した野生動物が地上に移動できず死亡したりしています。

また、交通事故により野生動物たちは多大な苦痛を伴い死亡しています。

人間に生息地を奪われた野生動物たちは生活が困窮し、個体群を維持できなくなっています。

このように厳しい状況の中で、かれらは家族や仲間と助け合いながら暮らしているのです。

野生動物は「危険」や「獰猛」など、野生動物を恐ろしく危険な存在だと印象付ける言説がたくさん見受けられますが、実際には数々の能力を駆使して、可能な限り不要な争いを避けながら暮らしています。

野生動物たちは、家族や仲間などを思いやる心を持っており、観察を通じ野生動物たちの平和的行動を知ることができます。

一例を紹介すると、2021年、チェコのチェコ生命科大学プラハ校のグループが、罠にとらえられた若いイノシシの仲間を他のイノシシたちがチームワークで「救助」する場面の撮影に成功しました。このことから、イノシシは高度な社会性と共感力、知性を持ち具えていることが明らかになりました。

野生動物たちは、生存のために他者の様子を察知する能力や状況判断能力に優れており、状況に応じた適切な行動を行います。

弱い立場、困っている家族や仲間がいると、生活を手助けするといった思いやりある行動を行う種や個体を多く観察することができます。

「野生動物は危険」というのは、人間に対し野生動物が攻撃することから言われていると思いますが、本当は「恐怖」「痛み」「不快」などから人間に対しその意志を行動で表しているのです。

言い換えれば、わたしたち人間が野生動物に対し、恐怖や痛み、不快などを与えないかかわり方であれば、野生動物がわたしたちに攻撃をとることは避けることができます。つまり、野生動物の攻撃は防衛行動なのです。

わたしたちは他者から危害を加えられると、「やめてほしい」と言語や動きを使い意思表示をします。他の動物種たちもそうです。他の種は人間のような言語を使用しませんが、それぞれの「言葉」を持ち具えています。それは、逃げることや威嚇すること、鳴くこと、噛むことであり、ほかにもそれぞれの種独自の表現方法があります。

野生動物たちは実にさまざまなことを考え、状況判断しながら生活をしています。

それと同時に豊かな感情を持っており、痛みなどの感覚も備わっています。

何よりも、厳しい状況で生き抜くすべを熟知しています。

ときとしてわたしたち人間が持っている能力以外の数々の能力を持ち、それらを使って生き抜いています。

野生動物たちはわたしたち人間に遠慮をし、窮屈な環境で生きることを強いられています。その生涯は過酷で苦しみ多いものですが、その中でかれらは家族や仲間とひとときの安らぎやよろこびを感じながら生きています。

野生動物にこれ以上の苦しみ与えいないよう、動物たちの生命や暮らしを脅かすことのないように、かれらに配慮したその生活を尊重しながら、野生動物たちと平和的関係を築き上げていきましょう。

文責 岡田友子