
シカたちを麻酔事故から守るひとつの方法
2025年09月20日
「シカたちを麻酔事故から守るひとつの方法 」
アメリカの保護施設から学ぶ
シカへの麻酔処置では、残念ながら死亡に至るケースも報告されています。
その要因としては、麻酔量の調整の難しさに加え、イヌやネコよりも首の長いシカでは、麻酔下で喉の器官に体液が溜まりやすく、呼吸が妨げられることなどがあげられます。
その要因としては、麻酔量の調整の難しさに加え、イヌやネコよりも首の長いシカでは、麻酔下で喉の器官に体液が溜まりやすく、呼吸が妨げられることなどがあげられます。
日々ケガを負ったシカをレスキューし、野生復帰を目指して活動している Magnolia Fawn Rescue(米国のシカ保護施設) では、シカが麻酔で命を落とさないよう対策をとっています。
今回、その取り組みについてMagnolia Fawn Rescue から有益な情報を得ることができましたので、みなさんに共有します。
野生動物に接するときの基本知識
シカに限らず、野生動物を救護する際には以下の点を守ることが重要です。
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話さない(可能な限り無言で対応する・ゆっくりとした小さな動きでのジェスチャー対応)
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音を立てない(可能な限り静かに手際よく行動)
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目を覆う(目を覆う専用のカバーや毛布、布で保護動物の頭から目を覆い、呼吸できるよう鼻は出す)
これらは、動物が人間の行動や移動などに驚いてパニックに陥るのを防ぐための基本的な対応です。
麻酔事故を防ぐ方法
シカを麻酔下で扱う際、もっとも注意すべきは 「体勢」と「頭の位置」 です。
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体を横向き(真横)にさせないよう支える
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首を伸ばし、頭を高い位置に保つ
(タオル・毛布・クッションなどを活用)
もし体を真横にせざるを得ない場合でも、必ず 頭を高めに固定 してください。
繰り返しになりますが、 「体を真横にしない」「首を伸ばし頭を高く保つ」 ― この2点が麻酔事故を防ぐ鍵です。

海外と日本の違いから考える
アメリカやカナダ、オーストラリア、オランダ、スペインなどの救護団体は、野生動物救護の知識や獣医療が非常に進んでおり、救護した動物の苦痛を最小限に抑えながら、迅速かつ的確に処置を行っています。
その姿勢には「さすがだな!」と感心させられる点が多くあります。
私たちも同じように、動物たちの立場に立ち、動物たちが経験していることへの共感を持ち、苦痛をできるだけ減らすための知識と技術を身につけ、行動できる社会を築いていきたいものです。