マーク・ベコフ氏(コロラド大学ボルダー校 生態学・進化生物学名誉教授)が提唱する「思いやりある保全(Compassionate Conservation)」に関する翻訳記事を、翻訳家・著述家の井上太一氏がWDIにご寄贈くださいました。この記事の翻訳および転載にあたっては、井上氏がベコフ氏ご本人から正式な許可を得ております。

WDI記事
liminal animal(境界動物)
この記事では、人間の居住空間に適応して暮らす野生動物たちの新たな分類、「liminal animal(境界動物)」についてまとめます。
オオカミ不在がシカの個体数増加を招く?その検証と考察
日本では近年、野生のシカが個体数を「爆発的」に増やしていると言われています。
シカの行動を理解するーシカの攻撃とその回避方法ー
シカは一般的に人間に対して穏やかで非攻撃的な行動を示します。シカは野生の捕食動物より人間の声を恐れます。かれらの自然な行動は通常、人間への警戒心から、戦うよりも逃げることを好みます。そのため、シカによる致命的な攻撃は非常に稀です。
ジビエは持続不可能(2)
2019年頃から、野生動物の肉を食べる行為が「サステナブル」として認識され、広く社会に浸透しつつあります。しかし、以前のWDI記事「ジビエは持続不可能」で述べたように、野生動物の捕殺は自然環境に重大な影響を与え、長期的には生態系の損失につながる行為です。
傷病野生動物を見つけたときは
人為的な要因により、野生動物の負傷が増加している現代において、一般の人々が弱ったり負傷したりしている野生動物を見つける機会も増えています。そのため、一般の人が傷病野生動物を保護するケースも度々見かけるようになりました。
動物福祉「動物の5つの自由」
2024年8月5日に開催された「奈良のシカ保護管理計画検討委員会 鹿苑のあり方等検討部会第2回会議」を傍聴しました。この会議で配布された参考資料5「動物福祉と群管理」において、「動物の5つの自由」に新たに6つ目の項目として「安楽死の自由」が提案されました。この提案は、日本獣医生命科学大学の田中亜紀氏によるものです。田中氏はアメリカの先進分野である「シェルターメディスン」を長年研究した後、帰国し母校で「動物福祉」の研究と普及に取り組まれています。
シカによる農業被害を防ぐには
一般的に、シカを殺すことで、シカ個体数が減り、農業被害も減ると考えられています。しかし、北海道大学の揚妻教授の研究によれば、シカ個体数と農業被害は必ずしも比例関係にないことが明らかになっています
シカの報道に対する 批判的考察ー報道に流されないでー
近年、シカによる農林業被害が深刻化していることが頻繁に報道されています。これらの報道内容には強いバイアスがかかっていることがほとんどです。その報道が動物を「駆除」するという国策を支え、強固にしています。
シカたちは自然生態系や森林の破壊者なのか?
近年はシカが増えすぎていて、増えすぎたシカが森の植物を食べ尽くし、森林や生態系を破壊しているという言説をみなさん一度は聞いたことがあるかもしれません。
奈良のシカ(国の天然記念物)を取り巻く現状とWDIの見解
2024年、奈良県庁で「第13回奈良のシカ保護管理計画検討委員会」が開催されました。