動物の「愛護」とは
この「かわいがる」「保護する」「大事にする」といった行為や「大切なもの」とする認識は、個人によってその形や捉え方が異なります。これらはあくまで人間が主体となって行うものであり、対象となる動物たちの意思や立場は基本的に含まれていません。つまり、「愛護」という言葉自体が、人間の主観的な視点で成立している概念なのです。
この「かわいがる」「保護する」「大事にする」といった行為や「大切なもの」とする認識は、個人によってその形や捉え方が異なります。これらはあくまで人間が主体となって行うものであり、対象となる動物たちの意思や立場は基本的に含まれていません。つまり、「愛護」という言葉自体が、人間の主観的な視点で成立している概念なのです。
日本で最初に「猟友会」と名乗った団体は、動物学者・飯島魁らによって1892年に結成されたとされています。初代会頭を務めたのは、貴族院議員の大村純雄でした。当初、猟友会は軍や警察の下部組織として機能し、多くの場合、警察署長が猟友会の会長を兼任していました。
マーク・ベコフ氏(コロラド大学ボルダー校 生態学・進化生物学名誉教授)が提唱する「思いやりある保全(Compassionate Conservation)」に関する翻訳記事を、翻訳家・著述家の井上太一氏がWDIにご寄贈くださいました。この記事の翻訳および転載にあたっては、井上氏がベコフ氏ご本人から正式な許可を得ております。
この記事では、人間の居住空間に適応して暮らす野生動物たちの新たな分類、「liminal animal(境界動物)」についてまとめます。
日本では近年、野生のシカが個体数を「爆発的」に増やしていると言われています。
シカは一般的に人間に対して穏やかで非攻撃的な行動を示します。シカは野生の捕食動物より人間の声を恐れます。かれらの自然な行動は通常、人間への警戒心から、戦うよりも逃げることを好みます。そのため、シカによる致命的な攻撃は非常に稀です。
2019年頃から、野生動物の肉を食べる行為が「サステナブル」として認識され、広く社会に浸透しつつあります。しかし、以前のWDI記事「ジビエは持続不可能」で述べたように、野生動物の捕殺は自然環境に重大な影響を与え、長期的には生態系の損失につながる行為です。
人為的な要因により、野生動物の負傷が増加している現代において、一般の人々が弱ったり負傷したりしている野生動物を見つける機会も増えています。そのため、一般の人が傷病野生動物を保護するケースも度々見かけるようになりました。
2024年8月5日に開催された「奈良のシカ保護管理計画検討委員会 鹿苑のあり方等検討部会第2回会議」を傍聴しました。この会議で配布された参考資料5「動物福祉と群管理」において、「動物の5つの自由」に新たに6つ目の項目として「安楽死の自由」が提案されました。この提案は、日本獣医生命科学大学の田中亜紀氏によるものです。田中氏はアメリカの先進分野である「シェルターメディスン」を長年研究した後、帰国し母校で「動物福祉」の研究と普及に取り組まれています。
一般的に、シカを殺すことで、シカ個体数が減り、農業被害も減ると考えられています。しかし、北海道大学の揚妻教授の研究によれば、シカ個体数と農業被害は必ずしも比例関係にないことが明らかになっています
近年、シカによる農林業被害が深刻化していることが頻繁に報道されています。これらの報道内容には強いバイアスがかかっていることがほとんどです。その報道が動物を「駆除」するという国策を支え、強固にしています。